東京電力御中、 御社が7/19に発表された福島第一原子力発電所からの放射性物質の放出量 推定について、お伺いしたいことがあります。 資料によると、西門付近のでのダストの濃度をすべて原発からのものと想 定し、拡散式による逆算から放出量を求めて、Cs-134,137で10億Bq/hとな ったとのことですが、同じ方法を4/1 のダストに適用すると、Cs-137では 50億Bq/hとなり、同じ日の原子力安全委員会による推定値 2兆Bq/hと大き く異なる結果になります。名古屋大学量子エネルギー工学教室の遠藤知弘 氏から意見を頂戴したところ、使用された拡散式は一定の放出量に対して 拡散量を保守的に大きく見積もるため、逆算に使うと放出量を過小評価す る可能性があるということです。 web上で遠藤氏などと行われた議論のまとめが http://togetter.com/li/165354 にあります。 この評価以外にも多くの場所でダストが観測され、放出量が減少している ことは明らかだと思いますが、今回の手法には大きな問題がある可能性が あると考えられます。ダストの採取点の追加を含め、ご検討よろしくお願 いいたします。 谷本溶(ローマ第二大学数学科博士課程)
谷本 溶 様 この度の弊社福島第一原子力発電所の事故の影響により大変なご迷惑とご心配を おかけいたしまして,心よりお詫び申し上げます。また、谷本様におかれましては エコー・ボックスへご連絡をいただきまして誠にありがとうございました。 今回の弊社による推定は、現在の原子炉が事故直後に比べ安定的に冷却され、放 射性物質の放出が大幅に減少している状態において、現状原子炉から放出されてい る放射性物質の量について敷地内の測定データから評価したものです。 原子力安全委員会で報告された推定値と弊社による推定値の比較では、測定時刻 が異なり、測定時刻における風向から、当社の測定点が放出源に対して風上になる 場合と風下になる場合があります。風上となる場合は測定値が小さくなり、推定さ れた放出量も小さくなるものと考えられます。 原子力安全委員会の報告では、発電所からの放射性物質の放出を捉えたと考えら れるサンプリング期間による測定値から推定していますが、弊社の測定は1日1回 の定時の測定で、4月1日の測定では原子炉に対して風下の条件とはなっていませ んでした。したがって、測定状況の違いから直接的な比較は難しいと考えています。 今回の弊社の暫定評価については精度の向上を図っていく必要があると考えてお り、複数の測定データや評価方法により比較検討してまいります。また、評価だけ ではなく、実際の環境への影響についても、敷地境界付近での空気中の放射性物質 濃度の測定を継続することによって傾向を把握していきたいと考えています。 現在、福島第一原子力発電所では、放射性物質の放出源である原子炉建屋周辺か ら敷地境界付近まで、放出量評価や放射能の低下傾向の確認のために、放出量評価 に用いた西門付近も含めて敷地内の13地点で定期的に空気中の放射性物質濃度を 測定しています。 また、放出量評価のために各原子炉建屋の内外での測定も継続しています。さら に、敷地外でも大気中から降下してくる放射性物質量の測定を8月より開始する予 定です。これらの測定により、原子炉から新たに放出される放出量を把握するため のデータの蓄積を進めてまいります。 弊社は、今後も政府や関係省庁等と連携しながら被害の拡大防止、事態の早期収 束に努め、一日も早く皆さまが安心してお暮らしいただけるよう全力で取り組んで 参ります。長期間にわたりご迷惑をおかけして誠に申し訳ございませんが、何とぞ ご理解たまわりますようお願い申しあげます。 ************ 東京電力株式会社 お客さま相談室 電話:03-6373-1111(代) ************